Global Insight

グローバル・インサイト

Global Insight Vol.61

日付2022/03/17

カンボジア

 

【英語のみを使用する会計システムについての通知の提出、他】

1. 英語のみを使用する会計システムについての通知の提出
会計監査の監督機関である Accounting and Auditing Regulator( 以下、ACAR)は 2022 年 1 月 27 日付けで、英語のみを使用する会計システムについてACAR にその旨の通知を行う文書の提出を求める旨のガイドラインを発表しました。 主な要件は以下になります。

  ‐ 法的に登録されている企業は、会計システムや関連するソフトウェアでの英語の使用にかかる通知を2022年3 月31 日までに行う必 要があります。新たに設立された企業は租税総局への登録完了の日付から60 日以内にこのガイドラインの要件に従う必要があります。
  ‐ 企業はACAR のE-Filing システムを利用して上記通知を行う必要があります。
  ‐ 企業は使用する会計システムの名称や開発者、開発国などの詳細を提出することを求められます。
  ‐ 企業は将来的なACAR による検査に備えて、提出された元の通知書を保管する必要があります。
  ‐ 通知期限までに当該通知書を提出しなかった場合、2020 年6 月1 日に発行された会計監査法違反に対する罰則に関するSub Decree に基づきペナルティが課されます。

  このガイドラインは、2021 年9 月1 日発行のMEF Circular に基づくものですが、当該Circular の中で、使用言語が英語のみの会計システムを利用する企業はACAR にその旨の通知を行うことが規定されており、今回のガイドラインでその詳細がアナウンスされました。クメール語を使用言語とする会計システムを利用する企業は特に通知の必要はありません。

上記のように通知を怠った企業に対してペナルティが課されるとありますが、会社規模により800,000 リエル(約200US ドル)もしくは2,000,000 リエル(約500US ドル)の罰金が予想されます。

2. 法定監査要件を満たさない企業に対する財務諸表の提出義務について
会計監査監督機関であるACAR は、法定監査要件を満たさない企業にACAR への財務諸表の提出を義務付けるNotifi-cation を発行しました。このNotification に従って、法定監査要件を満たさない企業は2021 年度分より財務諸表をACAR に提出する必要があります。

    ‐ 当該企業は会計年度の末日より3 カ月15 日以内にACAR に監査を受けていない財務諸表を提出する必要があります。
  ‐ 企業はE-Filing システムを通じてACAR に財務諸表を提出し、手数料を支払う必要があります。(この手数料は2022 年1 月12 日発行のPrakas で規定されています。)

   この財務諸表の提出を怠った企業は、Sub Decree の規定に基づき罰則が課されることとされており、企業規模によりますが1,500,000 リエル(約375US ドル)もしくは2,000,000 リエル(約500US ドル)が課されることとなります。

  ACAR への非公式の質問とその回答では、財務諸表は貸借対照表と損益計算書のみではなく、フルセットでの財務諸表が必要との回答であり、キャッシュフロー計算書や持分変動計算書、注記や会計方針の要約をも含むものと解釈されます。しかし、カンボジアで会計人材とされる多くの方はこういったフルセットの財務諸表作成の知見に乏しく業界全体的にリソースが不足しているものと予測されます。
今回2022 年1 月27 日に通達が出されており、12 月決算の企業は2022 年4 月15 日までに提出する必要がありますが、時間的猶予も少なく混乱が予想されます。正当な理由があれば提出期日を個別に延期可能とされていますが、ACAR より承認されるか否かも不明であるため、該当する企業は速やかに準備を進めるべきものと考えます。

※本⽂より⼀部抜粋
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